私たちは広島県内の公認心理師で組織する団体として、2019年4月15日に設立しました。公認心理師というのは国家資格の中では新しい部類で、まだ十分に知られていないと思うので説明させてもらいます。国家資格には根拠となる法律があり、公認心理師の場合は公認心理師法といいます。その第2条が公認心理師の「定義」になるので引用します。
【この法律において「公認心理師」とは、第28条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。】
法律の言葉はちょっととっつきにくいかもしれませんが、公認心理師はどんなことをするのかというのが書いてある部分です。ポイントは3つありますので、1つずつ見ていきます。
1つ目は「心理学に関する専門的知識及び技術をもって」という点です。心の健康を保つためにはさまざまアプローチがあるわけですが、その中で公認心理師は心理学という学問に基づいてアプローチをします。だからこそ、心理学以外のアプローチを得意とする他の専門家と一緒に働く事も必要になります。
今は「カウンセラー」というのもよく耳にするようになりましたが、「カウンセラー」の中には心理学に基づいて行う人もいれば、そうでない人もいます。「公認心理師」は心理学の専門的知識と技術をもって行うと定義されていますので、心理学がベースにあります。これが他の「カウンセラー」との違いです。どんなカウンセリングを受けたいのかと考える時に、目安の1つにはなると思います。
2つ目のポイントは、「心理に関する支援を要する者」という点です。医療や福祉の他の資格を見ると、多くは「傷病者」とか「障害者」、「障害があることで日常生活を営むのに支障がある者」などを対象にすると定義されています。公認心理師の場合は、傷病者とか障害者とか、日常生活に支障があるとか、対象者をそういう基準では定めていません。病気や障害がなくても対象になるし、日常生活に支障がない人でも対象にします。心理に関する悩みや困りごとに広く対応しますというのが公認心理師です。
3つ目のポイントは、「心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供」という点です。ここでは「心理に関する支援を要する者」という対象は書かれていません。つまり国民全体を対象とします。心理についての悩みや困り事がある人だけではなく、心の健康に関する知識をみんなに知ってもらう。これも公認心理師の仕事の1つだと決められています。
こうした活動を行い、国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的に作られたのが公認心理師という資格です。私たちは公認心理師の団体として、こうした社会の要請に応えられるよう活動をしていきます。
2023年8月
一般社団法人 広島県公認心理師協会
会長 舘野 一宏
〒732-0052
広島市東区光町1丁目11-5
チサンマンション広島1111号
(一社) 広島県公認心理師協会 事務局
e-mail:hirokounin19@gmail.com